Saunner Columns

Column by カーツさとう

2016.3.16

「サウナってどう入ればいいの?」というみなさんへ

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「サウナって我慢大会みたいなヤツでしょ?」

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ちょっと前まで、サウナのイメージといえば、間違いなくこれであった。しかしその考え方は最近、確実に変化しつつある。

「サウナって、ある入り方をすると、なんかスゲェ気持ちイイらしいじゃん!」

そんな事実を知り始めた人がすごく増えてきている。そうとはいっても、その“ある入り方”ってヤツを知らない人がまだまだ多いのもまた事実!

なにしろ、そんな入り方を知らない人が必ずサウナ好きに聞くセリフというのが、「サウナって何分くらい入ってればいいの?」ってやつ。たしかにオレ自身もサウナをまったく知らない時は、先輩サウナーの方々に、まったく同じような質問をしていた。しかしその質問にはこう返答するしかない!

「サウナに入ってる時間に決まりはない!!」

こんなこと言うと、「え〜じゃあ2秒でもいいの?」なんていう子供みたいなことを言う人もいるんで、サウナの入り方について、最初っから説明をしていく!

まず服を脱いで浴室に入ったら必ずしなければいけないことがある。温かいシャワーやかけ湯で体の汗や汚れを洗い流す作業だ。これはエチケット的な意味もあるが、ある程度この段階で体を温め、サウナ室に入った時の発汗を促す意味もある。

そしてサウナ室に入る前に、必ず体についた水分をタオルでよく拭き取る。サウナ室とは体を温めるのが目的なのに、体に水分が付いていると、サウナ室でその水分が蒸発し、気化熱で体の熱が奪われ、なかなか体が温まらないのだ。

さぁ、シッカリ体の水分を拭いてからサウナ室に入りました。ここで最初に出てきた“サウナ室には何分くらい入ってればいいの?”という問題が出てくるが、これはもう“自分の体が温まるまで”としかいいようがない。

自分の体が芯まで温まったような感じ。脊椎まで温まってるなァ〜といった感じになれば、もう出てもかまわない。この後には水風呂に入るのだが、

「あ〜もう水風呂に入りたい!」

と体が欲した時。それがサウナ室から出る時間だ。

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「だからそれが何分かって聞いてるの!」

そう思う人もいるだろう。しかし、サウナというのは、施設によって温度も湿度もまったく違うのだ。要するに温まり方がサウナごとに千差万別なのだ! それどころか同じサウナでも、日によってまったく違うこともある。サウナっていうのは生き物なのだ。生モノなのだ!! そこに利用するコッチの体調っていう要素も加わってくるだろう。そこには画一的な答えなんてあろうはずがないじゃないですか!

“何分”などという杓子定規な決め方ができるワケないじゃないの。その時その時に応じて、自分の体がサウナに入ってくれる時間を教えてくれるとしか説明できないのである。

またサウナ室では、特に男で多いんだけど、他の客と意地の張り合いみたいになって、ついつい長く入り続けてるなんてことがよくあるんだよね。でもハッキリ言っておく。アレが一番ダサい!!

逆にサウナの達人クラスになると、短時間での体を温め方を知っているのだ。それはサウナ室内でのポジショニングだったり、効果的に熱を吸収するポージングだったりして、またこれについては別の機会に説明しなきゃいけないんだけど、とにかくいいたいことは、長く入ってるヤツの方が、効果的な体の温め方を知らないダメサウナ野郎という考え方もできるということだ。

そう考えると、意地を張って長時間入っていることがバカバカしいでしょ? とにかく、体が芯まで温まり、水風呂に入りたくなったら躊躇せず出る!

これなのだ!!

で、サウナ室から出たら、次は水風呂である、と書きたいところだがちょっと待て!!

話を前後して、水風呂の後のステップも書いちゃいますけど、サウナ→水風呂ときたら、次は休憩ということになっている。この“サウナ”“水風呂”“休憩”の3ステップを1セットとして、3セットくらい繰り返す、これが基本的なサウナの入り方なんだけど、個人的にはもう1ステップ加えた4ステップで1セットとするという考え方を提唱したい!

それが“サウナ”“汗流し”“水風呂”“休憩”という4ステップだ!!

もともと“汗流し”っていうのは、水風呂に入る前のマナーとして、シャワーやかけ水で汗を流さなきゃいけない大事なこととされてたんだけど、あくまで水風呂前の付属物的にしか言われてこなかったのね。

だけどこれはもう必ず行わなければいけないことなんで、もう独立した1ステップとして考えた方がイイ。ということで、サウナ室から出たらば次にやることは、サウナ室でかいた汗を流すということだ。

ただ、これに関しては、水風呂の水でやる人、熱いシャワーでやる人と2パターンに分かれる。

熱いシャワーで汗を流すメリットは、汗がよく落ち、なおかつ水風呂に入った時、ここで初めて冷たい水に触れるので、その刺激が超気持ちいいというヤツだ。

水で汗を流すメリットは、手先や足先から徐々に水を掛けることで、水風呂に入った時の心臓への負担が少なくなるというものだ。

まぁこれは好きな方をやってください。熱いシャワーを使うと心臓に負担があるの? と思う人がいるかもしれないが、結局水風呂に入るときは心臓から遠い足先から水風呂にしずしずと入っていくので、それほど心臓に負担があるとは思えないし。水を体にかけるのも、それがけっこう気持ちよかったりするしね。

オレはその施設ごとに変わってくる。サウナと水風呂の位置の中間地点にシャワーがあればそれを使うが、なかったら掛け水でいいや! って程度の感覚、一番重要視してるのは、どっちの方が早く水風呂に入れるか? ということですね。

さ、2ステップ目の汗流しをシッカリしたら、水風呂にイン。

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さぁサウナ初心者にとって最大の難関がこの水風呂ってヤツだろう。

「あんな冷たいの、よく入れるね?」

ってヤツである。
それどころか、「あんなの入るのバカだろ?」

ってくらいに忌み嫌う人もいる。すみません、昔はワタシもそうでした。何度か入ろうとしても、冷たすぎていっつも断念してました。

しかし、先輩サウナーの方から聞いた入り方を実践してみたら、あっさり入れるようになったんですね。それが、力を抜いて、息を吐きながら水風呂に入っていくというヤツ。

それまでは、冷たさを我慢するように歯を食いしばって「グギギギギィ」なんていいながら入ってたんだけど、言われた通りに力を抜いて息を吐きながら、まぁ一言でいえば「タリラリラ〜ン!!」的に入ってみたら,これがあっさり入れた!

水風呂が苦手だっていう人は、ぜひ「タリラリラ〜ン」的に入ってみてほしい。絶対に新しい世界が待ってっから。

さてこの水風呂にもどのくらい入っていればいいの? という問題がある。これも答えはない。なにしろ施設によって水風呂の温度が違うんだから。これも自分の体が、

「しっかり冷えたなァ〜」

と感じたらば、脊椎も冷たくなってきたと思ったら出ればいいというそれだけの話である。

そして次は休憩である。

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デッキチェアがあればデッキチェアに、イスがあればイスに、イスもなければ浴槽のヘリに座って休憩するといいますか、リラックスしてグタ〜ッとしばし我を忘れる時間である。

この休憩もやっぱりどのくらいしてればいいの? って問題が出てくる。だが、これは一番わかりやすい。サウナに入ると心臓の鼓動は早くなってくる。そして水風呂に入ることで少しずつ元にゆっくりになってくるんだけど、このゆっくりとしてきた心臓の鼓動が完全に元の状態、サウナに入る前の状態に戻るくらい休憩すればいい。だいたいの目安は、サウナに入ってるのと同じくらいの時間で鼓動は元に戻ってるハズだ。

ところで休憩だけど、施設によっては露天のスペースがあって外気浴できる所がある。もしその外気浴できる場所がとても風通しが良くって、季節も冬で、ものすごく冷たいなんていう所だった時は、その前ステップの水風呂の時間をすごく短くするのもイイ。

水風呂にはチャッと浸かるくらいにして、汗腺だけをキュッと締めて、すぐさま外気浴で風に当たる。汗腺を締めた状態で、冷たい風に当たると、その風の冷たさと、体の芯から湧き出てくる温かい熱が、自分の体表上でせめぐ合うようにぶつかり合って気持ちイイったらありゃしない!

こんな風に、施設によって臨機応変に色々な時間を変えていく。それがサウナを楽しむコツだ。

さぁ!! サウナ−汗流し−水風呂−休憩を1セットとして、最低3セット繰り返してほしい!

すると3セット目の4ステップ目の休憩では、もうなんというか、トリップするといいますか、脳内からドーパミンがガンガン出てくるといいますか、なんともいえない快感に体が包まれる。

この気持ち良さを求めて、サウナーはサウナに向かうのだ!

さてここでヒトツ、まだ書いていない大きな問題がある。

どこで体を洗うのか問題だ!

これはもう好みで選んでほしいんだけど、1セット目に行く前。もう一番最初の体を流すついでにここで洗うという方法がパターン1。

3セットでも4セットでもいいけど、全セット終わった後、一番最後に洗うというのがパターン2。

でもオレの場合は2セット目の途中にいれている。つまり2セット目の最初のサウナの後に、汗流しをかねて体洗いを入れて、その後に水風呂、休憩というようにしている。

理由はいくつかあって、最初に体を洗うと、結局その後に何セットか繰り返しているうちに、また垢で出てくるんですよね。だからせめて2回くらいサウナに入った後の方が、皮がふやけて、よく体が洗えるんじゃないか? っていうのがひとつ。ふたつ目の理由は、最後に洗うと、せっかくドーパミンが出て気持ち良くなった状態なのに、体を洗うというマジメな作業をしたことで、シャッキリ状態に体も心もリセットされちゃうような気がするということ。

あと2セット目の水風呂の前に洗うというのは、水風呂で汗腺を締めちゃうより、サウナ効果で汗腺が広がってる時の方が、そういう汗腺とか毛穴とかの穴の中の汚れもよく落ちるような気がするんですよね。

で、全部汚れを落としたうえで、水風呂に入ってキレイになった汗腺を締める。ちなみに、体洗ってるうちに火照った体がちょっと冷え、水風呂に入りにくくなってる時もあると思う。そんな時は湯船にちょっと浸かって体を再度温めてやるっていうのもイイ。

施設によっては、温泉だったり薬湯なんて湯船もあるんで、この時にそういう湯に入ると、おっ広がってキレイになった汗腺や毛穴に、温泉や薬湯の成分がよく浸透するような気もするじゃないですか? そうなったら一石二鳥じゃん。

あと、フィンランドサウナ協会っていうフィンランドの団体が作ってる“サウナの入り方”みたいなイラストでもやっばり2セット目に体洗いを入れ込んでるんですよね。そんな理由でオレは2セット目に体を洗ってるけど、これはもう自分の好きな方法が一番いい。

いや、体をどこで洗うか? ってことだけじゃなくて、今まで書いた入り方はあくまで基本的1パターンっていうだけで、人それぞれ自分の好きな、そして効果的なサウナの入り方っていうのがあるはずなんですよ。それが場数を重ねることによって段々とわかってくる、見つかってくると思うんですよね。

だからそういうのを見つけるってのが、本当の一番気持ちいい入り方なんでしょうね。

なにしろサウナが生き物ならば、入ってるコッチも当然生き物だ! よくサウナは“火や水という自然と触れ合うこと”と言いますが、生き物と生き物が気持ちよくぶつかり合うといいますか、サウナという生き物と、利用者という生き物の恋愛ともいえるんじゃないすかね、サウナって。

いや!! むしろサウナと利用者の性交に近いかもしれない。

そりゃパターン化するより、自分ならではの方法を見つけた方が気持ちイイに決まってるよな〜。

(Column by カーツさとう)