Saunner Interviews

02: 笹野美紀恵

2017.2.10

聖地『しきじ』の申し子が語る“しきじの秘密”とそのサウナライフ!

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『サウナしきじ』……サウナーならば誰もが“聖地”と崇める至高のサウナ。

静岡県にありながら、サウナと、そして『しきじ』の名を不動のものにした奇跡の水風呂に入るだけの為に新幹線で訪れるマニアすら存在し、彼らは、その遠征サウナ行を“詣で”とまで呼ぶ。

そんな聖地に子供の時から日々入り続けているという、サウナーにしてみれば“うらやましいにもほどがある”女性がいる。
『サウナしきじ』経営者のご息女、“笹野美紀恵”嬢である!

モデルとしても活躍後,サウナと美容などを結びつける活動もされている彼女のサウナ半生には『サウナしきじ』の凄さの根底であるに違いない“すさまじいまでのサウナ愛”が詰まりに詰まっていた。


 

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小さい時から、ここ『しきじ』が遊び場だったんですよ!! もう物心ついた時には、毎日のように父と一緒に来ていたんです。
その頃はまだ父が経営していたワケではなくて、名前も『しきじ』ではなかったんです。とにかく父がサウナ好きで、不動産の仕事をしていたんですけど、ここのサウナに入っては、
「いつかはサウナをやりたい」
と思っていたそうなんですね。そんな時にこの施設が競売に出て…… 私、覚えてますもん。父がその話を聞いた日に興奮して帰ってきたのを。

「いけるかわからないけど、オレ、願かけたからな!!」
って。それが15年くらい前だったんだすけど、逆に不思議な気持ちだったんですよね。その前から毎日行ってる遊び場……というより、自分の家のお風呂くらいの気持ちでいましたから、
「あれ? 今まではウチじゃなかったんかい、ここ?」
みたいな。

しかし、そんな夢のようなサウナ三昧の日々を変えざるをえない時がやってくる。

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私、高校・大学とアメリカのボストンに留学したんですよ。寒い所なんですけど、サウナがないんですよ!! 今まで毎日入っていた、当たり前のモノが急に「プツン!」と切れちゃった。

そこで仕方ないんで色々考えたんです。寮に入ってたんですけど、バスタブはあるんです。
それでどうにか汗をかく方法はないか考えて、まずバスタブには水を留める栓がなかったので、マイ栓を買ってきて。そこで半身浴しながら、頭からビニールを被るんです、空気穴だけ空けて。周りの人が見たら、
「何やってんだ!?」
って感じなんですけど、そこまでしてでも、汗をかきたかったんですね。でもボストンのあるマサチューセッツのいいところは、水がキレイで冷たいんです。それで寮だからバスタブがいくつも並んで置いてあるんです。そのひとつは半身浴用にして、その隣のバスタブには冷たい水を張って水風呂にする。その二つで“マイサウナ”を勝手に作ってました。

今思えば贅沢なんですけど、マイサウナから上がると星空がきれいで。でも当時は16才とかで若いから、星空見て「私は何やってんだろ…」と孤独を感じちゃったりして。本当は遊びたい時期なのに、星空見るくらいしかやることがない!

だから夏とお正月に日本に帰ってくるのが楽しみで。母が成田空港まで車を運転して迎えにきてくれるんですけど、その母がまたサウナ好きで、
「3時間も運転してきたんだから、家帰る前にサウナに入ってから帰ろう」
って、成田や都内のサウナに一回入ってから家に帰るんですよ。

まさに筋金入りのサウナ一家である……。

私、ウチのサウナ以外でも、健康ランドとかに泊まるのは子供の時からしょっちゅうでしたから。
家族で高知県とかに旅行に行っても、泊まるのはホテルとか旅館じゃなくて、健康ランドとかの仮眠室!

旅行といっても父が仕事で来れない時があって。それでウチには兄と姉がいるんですけど、子供だけだとサウナとか健康ランドって入れない所もあるじゃないですか? 私と姉は母と一緒に女湯に入れるとしても、兄は子供だけなので入れない。そんな時は、母が知らないおじさんに、
「今日だけこの子のお父さんになってもらえませんでしょうか~。入浴料は払いますんで~」
ってお願いしたりして。後で兄も兄で、
「今日だけのお父さんにヤクルト買ってもらったよ~」
なんて。あ~、この話、書けないですよね?

面白いので当然書きます。
それにしても『しきじ』のクオリティーの秘密はどこにあるのか?

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まずやっぱり水風呂の水だと思うんですけど、これはこの『しきじ』のある場所の地下から汲み上げて、かけ流してるんですね。

あと、建築法なのか消防法なのか、今とは違う時代に作った建物なので、今では建てられない高温設定が可能なサウナらしいんです。

それとガウンやタオルも地下でクリーニングしてるんですけど、その洗濯している水も地下水なんですよね。ガウンもタオルもあの水で洗っているという。それをウチでは全部ビニールパックしてるんですね。タオルやガウンもそのままの状態で渡される施設が多いじゃないですか? でも一人分ずつパックしているっういうのも、ウチのこだわりだと思うんですよね。
地下水で洗った後には、誰も触っていないというこだわりですね。
実はそういうこだわりってほとんどウチの父のこだわりなんです。

『サウナしきじ』の経営者であるお父上・二郎氏である。

歯磨きも父がこだわっていて、使い捨ての歯ブラシなんですけど、ああいうのって、小さな歯磨きチューブが付いてたり、水で濡らすタイプじゃないですか?
でも父がそれだけじゃ飽き足らないっていって、自分で選んだ歯磨き粉を洗い場に何本も置いてるんですよね。

ちなみにその歯磨き粉は『ホワイト&ホワイト』である。

薬草サウナと漢方薬草風呂に使っている薬草も父がこだわっていて、韓国から定期的に買いつけていますしね。

父ってすごい潔癖症なんですよ。兄に聞いたら、父がサウナ室に入るとずうっと「このアングルじゃな~」とかいいながら、敷いてあるタオルの角度を直してるっていうし。夏なんか、汗くさいのがイヤだっていって、1日に4回くらい下着を着替えるんですよ! 冬でも2回は着替えますからね。
だから旅行に行く時はとにかく持っていく下着が大量ですし、その上に持っていく下着は全部『しきじ』で出すタオルやガウンと同じようにビニールパックしないと気がすまない!!

私は「ビニールマン」と呼んでるんですけど。

とにかく父はそんな潔癖症な上に水風呂が好きで、お風呂は『しきじ』で入るんで、家では入らないんですけど、水風呂だけは家でも入るんです。家でもキンキンの水風呂にだけ毎日入ってる。

やはりそのくらい潔癖症で水風呂好きじゃないと、聖なる水風呂を持つサウナを運営することは不可能なのだ。
ビニールマンあっての『サウナしきじ』だったのだ!
そしてお父さんに育てられた美紀恵嬢の現在のサウナライフはというと…。

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今は東京に住んでるので、毎日『しきじ』にくるワケにもいかず、サウナに入る回数は減ってますけど、それでも週に2回から4回は入りますね。よく行くのは新宿の女性専用サウナ『ルビーパレス』さん、巣鴨の『SAKURA』さん、銭湯で表参道の『清水湯』さんとか。
それと週末は温泉×サウナのある所を探すんですね。『東名厚木健康センター』さんとか、熱海の方までいったり、あと西多摩の『つるつる温泉』も良かったですね~。

やっぱりサウナって女性にとっては美容的な効果もあると思うんですよ。運動すると出る汗っていうのはサラッとしてるんですけど、サウナで出る汗っていうのは内発的な汗なんでちょっとドロッとしてるんですね。それは皮膚や汗腺に溜まった汚れとか老廃物とか、男性でいうと加齢臭ですとかいろんなものが混じっているからなんです。

それがサウナを3セットくらい入ると、汚れが全部出て、サラッとした汗になってくる。その時には、
「キタァァァァァァァ!!」
ってなりますね。岩盤浴とかでもサラッとした汗がでるんですけど、50分くらい入るじゃないですか? 中には2時間くらい入ってる人もいますし。でもサウナなら5分サウナ入って水風呂入ってを3回繰り返せば、もっと短い時間で汚れを排出させてサラッとした汗になってくる。だから岩盤浴もいいんですけど時間を効率よく使ってキレイになるのは、サウナじゃないかな~とワタシは思ってます。

女性的には岩盤浴って子宮を温める効果があるんでいいと思うんですけと、肌的にいったらサウナの方かな、って。
それと肌でいうと、男性でサウナ入ってる人は圧倒的に違いますね! 弛んでないというか、肌が張ってる。プルンプルンしてる。女性はファンデーション塗っちゃうんで、男の人の方がわかりやすい。

そんな美紀恵嬢のサウナの入り方のルーティンはどんなものなのか、気になるところである。

ストイックにやる時は、まず頭洗って体洗って、最初にお湯に使って体を温めてからサウナ。この時のサウナに入ってる時間が一番長くて10分くらい。その後に水風呂に1分くらい。そしたらすぐにサウナに入って、ここでは8分くらい。そして水風呂に入ったらここで最初のブレイクを入れますね。
「フワ~……」
って感じで。そしてここで冷たいモノを飲みたいんですけど、ガマンして温かいお茶かお湯を飲む。
もうどんどん体を温めよう、ちょっとでも体を冷やしちゃいけないぞ!っていう。

あ、それで水風呂に入ってる時は、常に手を“グッパ、グッパ”って開いたり閉じたり運動してます。それを繰り返して3回目のサウナになるんですけど、入ったら3分後くらいから、腹筋の運動を中でするんです。

ちょっとマニアックになるんですけど…。

大丈夫です。マニアックなサイトです!

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ヨガと同じで、「フ~ッ」って息を吐きながら胃をへっ込まして、お腹をキュっと締めて、腹筋を固い状態にしてから、両方の手の平を胸の前で合わせて力を入れて押し合うんです。さらにその状態で、足はアグラをかいた形なんですけれど、その組んだ足を持ち上げるんです。あ、この時タオルは頭に巻いた状態ですね。

それを状態キープで5分続けてサウナ室に合計8分入ったらまた水風呂に入って、4回目のファイナルサウナになります。ここでは、お客さんが他にいたら迷惑になるんでできないんですけど、空いてたら、さっきまでアグラを組んでいた足を伸ばしてから上げる。

さらに! まだ「いけるゾ」と思ったら、頭に巻いていたタオルを取って、両足の間に入れて挟む。
もう汗ダラッダラです。どうせだったら「キレイになりたい!」っていう欲ですね。

女性はお腹とか筋肉がないんでプルプルしてるんですけど、これをやるとワンサイズくらいダウンするんですよ。痩身エステとかって揉んでくれて、その後ヒートして同じような効果があるんですけど、この運動をサウナでやると、自発的にヒートする感じなんですね~。

私、すごいお酒飲みなんですね。ワインは2本くらいは飲んじゃうんですけど、サウナとこの運動のおかげで、どうにか体をキープできてるみたいな。

ただ入って「気持ちいい!」と喜んでいる男と違って、女性には女性なりの、
かくも激しく厳しい、そしてこだわりのサウナの入り方があったのだ!
しかしそのこだわりはサウナ上がりにも続くのだった。

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サウナ上がりのアメニティーにはこだわっていて、まず迷惑でなければ炭酸水の『ゲルウィッシュ』か『ウイルキンソン』を頭と顔にかけます。炭酸水かけるとサウナで良くなってる血流がさらによくなるので、化粧の乗りがブァアッってキマります。
『ゲルウィッシュ』は気泡が細かくマイルドなんですけど、『ウイルキンソン』は気泡が大きくて刺激が強いんで、今日は汚れが多いな~とか自分の気持ちがスッキリしないな~って時は『ウインルキンソン』。両方とも余ったら飲んじゃいますけどね。

あとこだわりというと、化粧水の後にブースターっていうのを使うことですかね。『キールズ』っていうブランドのやつなんですけど、今“キヌア”っていう健康食が流行ってるんですね。穀物なんですけど、発酵するどブクブク泡が出てきて、その泡が汚れを取るといわれてるんですけれど、そのキヌアを使った『キールズ』のブースター。

あとは『ベネフィーク』の“ハイドロジーニアス”。美容液なんですけと、ずぼらな方にはもってこいで、ナノよりもさらに小さいピコサイズで、肌に塗っておけば勝手に浸透してくれるという。

シャンプーとかコンディショナーは、その施設にあるやつを使っちゃうんで特にこだわってないんです。炭酸水とブースターと美容液。乾燥するなと思ったら美容液にヒアルロン酸を混ぜるくらいで。

そして美紀恵嬢にとってのサウナとは!?

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私にとってはサウナって、もう生活必需品なんですよね。歯ブラシと同じレベルというか。化粧品は装飾品だから、もし無くなってもどうにかなると思うんですけど、歯ブラシはないとやっぱり困るじゃないですか? それと同じレベル。

それと、人に合わせないで自分のペースでできるのがいいですよね。だからワタシにいわせると、サウナーの人って繊細だと思うんですよね、世間とシャットアウトして自分の向き合いたい時間を求めているんじゃないかな? って。

サウナに一人で入ってると、なにも考えなくなるのがいいんですよね。お酒とか呑んでると一人でも多少色々と考えたりすると思うです。明日の予定とか考えたり……でもサウナだと、ワタシなんかは運動もしちゃうし、考えると疲れちゃうんで、考えなくていいや~っていう気分に自然となれる。

女性の中には「サウナって肌や喉が痛いから、スチームや岩盤浴の方がいい」っていうイメージの人ってまだまだ多いと思うんですよね。でも、本当に質のいいサウナならば喉が痛くなることもないし、『しきじ』でいうと薬草サウナがあったり、本当に美容にも肌にもいいサウナがある、キレイになれるサウナがある、そういうことをもっと広めていきたいですね。

(取材/構成:カーツさとう)

Sauna Info

サウナ しきじ

住所
静岡県静岡市駿河区敷地2-25-1
TEL
054-237-5537
営業時間
24時間営業(年中無休)
ホームページ
http://saunashikiji.jp/
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